学校の定期テスト対策は必要でしょうか?

学校の定期テストに「命をかける」勉強、本当に必要ですか?

「定期テスト対策を徹底します!」

「テストの点数を○点アップさせます!」

こういったことを売りにしている塾はたくさんあります。

もちろん、学校の定期テストで良い点数を取ることは大切ですし、試験前に一生懸命勉強することも悪いことではありません。

ただ私は、「定期テストで良い点数を取ること」が勉強の最大の目的になってしまうのは、少し違うのではないかと思っています。

親世代とは高校入試の仕組みが変わっています

今の中学生のお父さん、お母さんが高校受験をした頃、大阪府では今よりも内申点の影響が大きい時代がありました。

学校の成績が悪ければ、入試当日にいくら良い点数を取っても志望校に届かない。極端な場合、当日の試験でかなり高得点を取っても、内申点が足りないために合格できないこともありました。

だから親世代には、

「定期テストは1点でも高く取らないといけない」

「内申点は少しでも上げておかないと後で困る」

という感覚が強く残っているのだと思います。

しかし、現在は入試制度も成績の付け方も変わっています。

大阪府の上位校などでは、内申点よりも入試当日の学力検査を大きく見る選抜方式があります。また、学校の成績も、昔の「相対評価」から「絶対評価」に変わりました。

昔は、上位の一定割合しか「5」を取れないような評価方法でした。そのため、90点を取ったからといって必ず5がもらえるわけではありませんでした。

現在はその仕組み自体が違います。

つまり、親世代が高校受験をした頃と、今の子どもたちの高校受験では、定期テストや内申点の意味が同じではないのです。

もちろん、だから内申点なんてどうでもいいという話ではありません。

ただ、昔と同じ感覚で「定期テストに命をかけて1点でも多く取らせる」という勉強が、本当に子どもの将来にとって一番良いのかは、一度考えてみる必要があると思います。

「実力以上の90点」を取らせてしまった話

め塾にはりょうじ先生という講師がいます。

このりょうじ先生、実は学校の定期テストの「山を張る」のがむちゃくちゃ上手でした。

「ここ、出るんちゃうか」

と予想して作った問題が、本当にそのまま学校の定期テストに出ることがよくあったのです。

当然、生徒は大喜びです。

「先生!ほんまに出た!」

と言って、90点以上を取って帰ってきたりします。

保護者の方も喜ばれます。

塾としても「テストの点数が上がった」のですから、一見すると大成功です。

ところが、私はだんだん、

「これ、本当にこの子のためになってるんやろうか?」

と思うようになりました。

なぜなら、その90点は必ずしも、その子の本当の実力で取った90点ではなかったからです。

中間テストで90点。

期末テストでも90点。

すると本人も、

「俺、結構できるやん」

と思うようになります。

保護者の方も、

「うちの子は90点以上取れているから大丈夫」

と思われます。

ところが、中学3年生になって実力テストを受けると、思ったような点数が取れない。

高校入試問題を解かせても解けない。

本人からすると、

「おかしい。俺はもっとできるはずや」

となります。

でも実際には、定期テストの点数ほどの実力が身についていなかったのです。

それどころか、定期テストで高得点を取れていたことで安心してしまい、普段の勉強がおろそかになってしまった子もいました。

これは子どもが悪いわけではありません。

実力以上の点数を取らせて、実力があるように見せてしまった塾側にも責任があります。

だからある時から、りょうじ先生には「もう定期テストの山を張るのはやめよう」と話しました。

この経験から、私が強く感じるようになったことがあります。

「テストの点数を上げること」と「学力を上げること」は、必ずしも同じではない。

ということです。

定期テストは「丸暗記」でも乗り切れてしまう

もう一つ、定期テストには大きな特徴があります。

それは、試験範囲が狭いということです。

極端な話、その範囲だけを丸暗記してしまえば、ある程度の点数が取れてしまうことがあります。

試験直前にプリントを何度も覚える。

答えを丸暗記する。

似たような問題を何度も解く。

それでも定期テストなら90点を取れることがあります。

ところが、高校入試になるとそうはいきません。

中学校3年間で学習した内容が試験範囲になります。

さらに高校へ進めば、学習量は一気に増えます。

大学入試になれば、なおさらです。

非常に記憶力の良い子なら、中学校くらいまでは丸暗記で乗り切れることもあります。

しかし、それが成功してしまうと、逆に怖いのです。

「勉強とは覚えること」

「試験前に一気に詰め込めば何とかなる」

という勉強方法が身についてしまうからです。

だから私は、できれば小学生の頃から、

「なぜそうなるのか?」

「どういう仕組みなのか?」

「前に習ったことと、どうつながっているのか?」

と考える勉強を身につけてほしいと思っています。

丸暗記するのではなく、ちゃんと理解する。

この習慣は、学年が上がれば上がるほど大きな差になります。

試験前に慌てない勉強を身につける

試験直前になって、

「時間がない!」

「明日テストや!」

と慌てて勉強する子もたくさんいます。

でも、これは夏休みの宿題を8月29日になってから慌てて始めるのと似ています。

普段から少しずつ勉強する。

少しずつ覚える。

分からないところを、その都度理解する。

忘れたら、もう一度戻る。

そういう勉強をしていれば、定期テスト前だからといって、すべてを投げ捨てて慌てる必要はありません。

これは単なる勉強方法の問題ではなく、計画性や段取りを身につける練習でもあります。

高校入試や大学入試になれば、試験範囲は定期テストとは比べものにならないほど広くなります。

その時になって初めて「普段からやっておけばよかった」と気づいても遅いのです。

定期テストは大切。でも、そこに命をかけない

誤解してほしくないのですが、私は、

「定期テストの勉強なんてしなくていい」

と言っているわけではありません。

もちろん、しっかりやった方がいいです。

定期テストをきっかけに、それまで習った内容を復習する。

理解できていなかったところを理解する。

覚えていなかったことを覚え直す。

普段あまり勉強していない子が、試験をきっかけに一生懸命勉強する。

そういう試験勉強には、とても意味があります。

ただし、

「定期テストの点数さえ上がれば何でもいい」

という勉強にはしない方がいい。

指定校推薦など、学校の成績が非常に重要になる進路を考えている場合は別ですが、多くの子にとって、定期テストはゴールではありません。

目の前の定期テストで90点を取ることだけではなく、

高校入試でも通用する力。

高校に入ってからも伸び続けられる力。

大学入試でも通用する勉強の仕方。

そして、その先も自分で学び続けられる力。

そういう力を育てることの方が、ずっと大切だと私は思っています。

定期テストは、その子の学力を伸ばしていく途中にある一つのチェックポイントです。

だから、学校の試験勉強はしっかりやる。

でも、そこに命はかけない。

目の前の点数を上げるためだけの勉強ではなく、その子自身の本当の学力を上げるための勉強をする。

め塾が大切にしているのは、そういう勉強です。

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