茨高に行くために小学生のうちにしておく事⑧
希望校に行くために小学生のうちにしておくこと⑧
「我慢する力をつける」
希望校に行くために、小学生のうちに身につけておいてほしいこと。第8弾は「我慢する力」です。
ただし、ここでいう我慢とは、嫌なことを何でも黙って耐えることではありません。自分が成長するために、すぐに結果が出なくても続けること。そして、少し難しいことにも、集中して向き合うことです。
この力があるかどうかで、勉強への取り組み方は大きく変わってきます。
■ 成績は、努力に比例して伸びるとは限りません
勉強時間と成績の関係をグラフにすると、どのような形になると思われますか。
多くの方は、右肩上がりの直線をイメージされるのではないでしょうか。能力の高い子は急な傾きで伸び、そうでない子は緩やかな傾きで伸びる。そんなイメージです。
ところが、実際の勉強では、頑張った分だけ、そのつど分かりやすく成績が上がるとは限りません。
時間も労力もかけているのに、なかなか点数に表れない。そんな時期があります。しかし、そこで学んだことが少しずつつながり、理解や定着が進むと、急にできることが増える場合があります。
もちろん、全員が同じ曲線を描くわけではありません。それでも、「努力の成果が見えるまでには時間差がある」ということは、ぜひ知っておいていただきたいのです。
大切なのは、この成果が見えにくい時期をどう乗り越えるかです。
「これだけやったのに上がらない」
「頑張っても無駄なのではないか」
そう感じたところでやめてしまうと、積み重ねが成果につながるところまで進めません。ここで必要になるのが、すぐに結果を求めず、続ける力なのです。
■ 自転車は、漕ぎ始めが一番しんどい
電動アシストのついていない自転車を思い浮かべてください。
止まった状態から走り出すときは、ペダルにぐっと力をかけなければなりません。一生懸命に漕いでいるのに、まだあまりスピードは出ません。
その横を、すでにスピードに乗った人が、涼しい顔でスーッと通り過ぎていく。
「自分はこんなにしんどいのに、どうしてあの人は楽そうなのだろう」
そんなふうに感じるかもしれません。
しかし、その人も最初からスピードに乗っていたわけではありません。漕ぎ始めの重い時間を通り抜けたからこそ、少ない力でも進めるようになったのです。
勉強にも、これと似たところがあります。
覚えていることが少なく、問題の読み方も分からないうちは、一問解くにも大きな力が必要です。ところが、知識が増え、考え方が身についてくると、以前より楽に理解できるようになります。
そこまで進む前に、やめてしまうのはもったいないことです。
少し取り組んではやめ、また始めてはやめる。これを繰り返すと、そのたびに学習のリズムをつくり直したり、忘れたことを思い出したりしなければなりません。
学んだことが全部ゼロになるわけではありませんが、漕ぎ始めのしんどさを何度も味わうことになりやすいのです。
しんどい部分ばかり繰り返していれば、勉強が嫌いになるのも無理はありません。
だからこそ、小さくても毎日続けて、少しずつ前に進むことが大切なのです。
■ 「時間をかけた」と「力を使った」は違います
もう一つ、考えていただきたいことがあります。
それは、同じ時間取り組んでいても、その中身によって得られるものは変わるということです。
例えば、足が速くなりたいと思って、ダッシュの練習をするとします。
一本ずつ真剣に走る子と、ゆっくり流して「10本終わりました」と言う子。どちらも同じ本数をこなしていても、練習の中身は違います。
勉強も同じです。
一時間机に向かっていたとしても、関係のない動画を見たり、何度も手を止めたりしていれば、十分に考える時間は短くなってしまいます。
一方で、問題文を丁寧に読み、「どうしてこうなるのか」「どこが分からないのか」と頭を使って取り組めば、同じ時間にも意味のある練習を重ねられます。
大切なのは、机に向かっていた時間だけでなく、その間に何を考え、何ができるようになったかです。
そして、集中して考えることは、楽なことばかりではありません。
答えがすぐに浮かばない問題に向き合う。覚えられていないことを、もう一度確かめる。間違えた原因を、自分で探す。
こうした場面では、「もういいや」「答えを教えてほしい」と思うこともあるでしょう。
そのときに、もう少しだけ自分で取り組めるかどうか。この踏ん張りが、力を伸ばすための大切な練習になります。
■ 小学生のうちから、小さな「やり切る経験」を
では、ご家庭ではどのように育てればよいのでしょうか。
最初から、長時間の勉強をさせる必要はありません。
「この10分は、ほかのことをせずに取り組もう」
「分からなくても、まずは問題をもう一度読もう」
「今日はここまでと決めたところを終わらせよう」
その子に合った、少し頑張れば届く課題を決めて、やり切る経験を重ねていただきたいのです。
途中で「しんどい」と言ったときも、すぐに終わりにするのではなく、「では、あと一問だけ考えてみよう」と支えてあげる。終わったら、「最後まで考えられたね」と、取り組み方を認めてあげる。
その積み重ねが、「しんどくても、自分は取り組める」という自信につながっていきます。
もちろん、疲れ切っているときの休憩や、難しすぎる課題の調整は必要です。休まず続けさせることが目的ではありません。取り組める難しさと量を見極めながら、簡単には投げ出さない習慣を育てることが大切です。
すぐに結果が出なくても続ける。
少し難しくても、自分の頭で考える。
目先の楽さだけで行動を決めない。
こうした力は、希望校を目指す勉強だけでなく、その先のスポーツや仕事にもつながっていくはずです。
自転車の漕ぎ始めは、誰でもしんどいものです。でも、そこで漕ぐことをやめなければ、やがて進みやすくなる瞬間が訪れます。
その経験を、小学生のうちから少しずつ重ねさせてあげてください。
成長するための努力から、すぐに逃げない。成果が見えない間も、必要なことを続けられる。そんな「我慢する力」を、ご家庭で育てていただきたいと思います。

