勉強よりも大切な「信用」の話
先日、授業中に改めて考えさせられる出来事がありました。
以前からスタッフが「A君とB君は授業態度に少し問題があります」と教えてくれていたのですが、私の前ではいつもきちんとしていたので、「そんなことないんじゃないかな」とフォローしていました。
ところが、ある日私が少し教室を離れた時のことです。
戻ってみると、A君は足を組み、肘をついて勉強していない状態。B君は勝手に席を移動していました。
その瞬間、「スタッフが言っていたことは本当だったんだな」と分かりました。
4月から約3か月間、私の前ではしっかりしていた2人でしたが、一度その姿を見てしまうと、それまで積み上げていた信用は一気に崩れてしまいます。
もちろん、次の授業から真面目に頑張れば良いのですが、「この子は本当に大丈夫だ」と思えるまでには、かなり長い時間がかかります。
信用とは、積み上げるのには時間がかかりますが、失うのは一瞬なのです。
これは子どもだけの話ではありません。
私が会社員だった頃、職場にCさんとDさんという女性がいました。
いつもCさんが自費で花を買い、事務所に飾ってくれていました。
ある日、支店長が来てその花を見て、
「こんな花があると雰囲気が良いな。誰がやってくれているんだ?」
と言いました。
その時、なぜか支店長はDさんの名前を挙げました。
ところがDさんは、
「私ではありません。Cさんです。」
と言わなかったのです。
後日、支店長は本当のことを知りました。
すると評価が上がったのはCさんではなく、むしろDさんへの信用が下がってしまいました。
嘘をついたわけではありません。
しかし、自分の手柄ではないことを否定しなかったことで、「この人は正直ではないのかもしれない」と思われてしまったのです。
社会では、こうした小さな出来事が評価に大きく影響します。
本人は気づいていなくても、信用は確実に減っていきます。
そして一度失った信用は、なかなか元には戻りません。
だから私は、子どもたちにも「人が見ていない時こそ大事だよ」と伝えています。
先生がいるから頑張る。
親が見ているから勉強する。
それでは本当の力は身につきません。
先生がいない時でも勉強する。
誰も見ていない時でも手を抜かない。
自分にとって得か損かではなく、正しいことを選ぶ。
そういう姿勢こそが、将来社会に出た時に大きな財産になります。
テストの点数は後からでも上げられます。
しかし、人からの信用は簡単には取り戻せません。
だからめ塾では、勉強だけを教えるのではなく、勉強を通して「信用される人になること」も教えていきたいと考えています。
人が見ていない時こそきちんとやる。
コツコツと努力を続ける。
自分の行動に責任を持つ。
そうした力は、テストの点数以上に人生を支えてくれる大切な力だと思います。
私たちはこれからも、成績だけではなく、人として成長できる子どもたちを育てる塾でありたいと思っています。

