ある日突然…

AI時代に子どもたちに本当に必要な力とは?

今から7〜8年ほど前、まだコロナ禍になる少し前のお話です。

当時、め塾は茨木校と豊中校の2校舎で授業をしていました。

私は両方の教室で授業を担当していたのですが、だんだん一つの問題に直面するようになりました。

それは、

「一斉授業を安心して任せられる先生がなかなか見つからない」

ということです。

もちろん、前に立って説明するだけならできる先生はたくさんいます。

しかし、子どもたちに考えさせながら授業を進めたり、「なぜそうなるのか」という原理原則まで説明できたりする先生は本当に少ないのです。

そこで私は考えました。

「豊中で授業をしている様子を、そのままリアルタイムで茨木へ配信できないだろうか。」

映像越しでも生徒を指名し、答えさせ、双方向で授業ができれば、質の高い授業を両校で同時に受けてもらえるはずです。

そう思い、教育ITの展示会へ行くたびに、そのようなシステムを探していました。

ある会社では、

「できますよ。ただし導入費は2,000万円です。」

と言われました。

もちろん断念です。

数年後、また別の会社へ行くと、

「600万円でできます。」

と思ったら、

豊中600万円、茨木600万円、システム600万円。

合計1,800万円。

これも当然無理でした。

さらにその翌年。

今度は、

「全部込みで70万円です。」

という会社が現れました。

これなら現実的です。

実際に教室へ来てもらい、豊中・東京・札幌をつないだデモも行いました。

音声の遅れもほとんどなく、板書もきれいに映る。

「これは導入できる。」

そう思い、見積もりまでお願いしました。

ところが、そのデモが終わった後、ある方から**「Zoomって知っていますか?」**とZoomのことを教えてもらったんです。

私はその会社に、

「70万円のシステムとZoomは何が違うんですか?」

と質問しました。

すると、不思議なことに、その会社からは二度と連絡が来ませんでした。

調べてみると、Zoomでほぼ同じことができたのです。

しかも年間2万円もしません。

その後、コロナ禍でZoomは世界中に広まりました。

もしあの70万円のシステムを導入していたら、私は大きな損をしていたでしょう。

さらに考えると、もっと恐ろしいことがあります。

その会社は、それまで何百万円というシステムを販売していたはずです。

しかし、Zoomという一つのサービスが世の中に現れた瞬間、その商品の価値は一気になくなってしまいました。

昨日まで売れていた商品が、今日から売れなくなる。

そんなことが本当に起こる時代なのです。

実は、もう一つ同じようなことがありました。

以前、Sさんという塾関係のシステムやコンサルをしている若い人がいました。その人から英単語テストを作るシステムを購入しました。確か10万円以上したと思います。

ところが後から、

「Quizletという無料のアプリで、ほとんど同じことができますよ。」

と教えてもらいました。

その時は正直、「やられた」と思いました。

もちろん、最終的に調べなかった私にも責任があります。

しかし、そのSさんはQuizletの存在を知っていたはずです。

一時的には利益になったかもしれません。

でも、その出来事以来、私はSさんを積極的に信用することはなくなりました。

もし仲の良い先生がSさんに相談しようとしていたら、

「少し気を付けた方がいいですよ。」

とは伝えると思います。

目先の利益を優先すると、長年かけて築くはずだった信頼を失ってしまうこともあるのです。

そして、私が子どもたちに一番伝えたいのは、ここからです。

AIが登場し、世の中の常識はものすごい速さで変わっています。

今うまくいっている仕事も、5年後、10年後には存在しないかもしれません。

だからこそ、

「言われたことだけをやる人」

ではなく、

「本当にこれでいいのだろうか?」と考えられる人

になることが大切なのです。

勉強も同じです。

先生に言われた通りに問題を解くだけではなく、

「もっと効率の良い方法はないか。」

「本当にこの考え方で合っているのか。」

そんな疑問を持ちながら学ぶ習慣を身につけてほしいのです。

スポーツでも、仕事でも、人生でも同じです。

試行錯誤し、自分で考え、改善していける人は、時代が変わっても生き残ります。

子どものうちから、その「考える習慣」を育ててあげること。

それこそが、これからのAI時代において、最も価値のある教育なのではないかと私は思っています。

学校のテストを10点、20点上げることももちろん大切です。

でも、それ以上に大切なのは、どんな時代になっても自分の頭で考え、新しい答えを見つけられる力を育てることではないでしょうか。

私は、それこそが子どもたちへの最高の教育だと信じています。

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