勉強ができる子の特徴⑥
「0.2秒で言えないなら、本当は覚えていない」
「うちの子は覚えているんです。でも、テストになると点数が取れないんです。」
塾をしていると、このようなご相談を受けることがよくあります。
実は、このようなお子さんにはある共通点があります。
それは、「覚えたつもり」になっているということです。
私は授業でよく、
「0.2秒で言えないなら、本当は覚えていない。」
と子どもたちに話します。
少し厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、勉強ではこれくらいの基準を持つことがとても大切なのです。
例えば、中学生の理科では、水素イオンやナトリウムイオン、水酸化物イオンなど、いくつものイオンを覚えます。
め塾では、それらを呪文のようにスラスラ言えるまで何度も練習します。
「Hプラス、水素イオン。Naプラス、ナトリウムイオン。OHマイナス、水酸化物イオン…」
というように、考えなくても自然に口から出てくる状態になるまで繰り返します。
ところが、成績が伸び悩む子は、
「Hってプラスやったかな……マイナスやったかな……」
と、その場で考え始めます。
時間をかければ答えられるかもしれません。
でも、それは「覚えた」のではなく、「思い出した」だけなのです。
この違いは、とても大きいのです。
問題を解くとき、人間の脳は一度にたくさんのことを考えられません。
本来、頭を使わなければならないのは、「この問題は何を聞いているのか」「どう考えれば答えが出るのか」という部分です。
ところが、基礎知識を思い出すことに脳の力を使ってしまうと、本当に考えなければならないところまで余裕が回らなくなります。
その結果、「習った問題ならできるけれど、少し形が変わると解けない」という状態になってしまうのです。
逆に、基礎知識が完璧に入っている子は違います。
例えば、「Hはプラス」と瞬時に分かれば、「HNO₃という物質があるなら、NO₃はマイナスではないか」と初めて見る内容でも推測できます。
知識と知識がつながり、新しいことを理解する力が生まれるのです。
これは数学でも同じです。
解の公式を、
「マイナスbやったかな……?」
と考えながら使っている子は、その時点で頭の中がいっぱいになっています。
だから計算ミスも増えますし、応用問題になると手が止まります。
一方で、公式が何も考えずに口から出てくる子は、数字を代入することや、「この問題はなぜ解の公式を使うのか」という本質を考えることに集中できます。
勉強ができる子は、特別な才能があるわけではありません。
基礎を何度も何度も繰り返し、「考えなくてもできる状態」まで持っていっているだけなのです。
だから私は子どもたちに、
「時間をかけて言えたら覚えた、ではない。」
と伝えています。
寝起きでも言える。
歩きながらでも言える。
誰かに突然聞かれても0.2秒で答えられる。
そこまでできて初めて、本当に覚えたと言えるのです。
お母さんも、お子さんに何かを確認するときは、「覚えた?」ではなく、「すぐ言える?」と聞いてみてください。
もし少しでも考え込んでしまうようなら、まだ練習が足りないということです。
この基準を持つだけで、勉強の質は驚くほど変わります。
そして最後に、ぜひ覚えておいていただきたいことがあります。
考える力は、覚える力の上に成り立っています。
「考える子になってほしい」と願うことは、とても素晴らしいことです。
しかし、考えるためには、考えなくても出てくる知識が必要です。
基礎知識が瞬時に出てくるからこそ、人はその先の応用や発想に頭を使うことができます。
勉強ができる子ほど、実は誰よりも基礎を徹底的に繰り返しています。
派手な勉強法ではありません。
でも、その地道な積み重ねこそが、本物の「考える力」を育てていくのです。

