勉強ができるようになるクセ
成績が伸びる子は「間違えた後」が違う。学力を大きく左右する勉強の習慣とは
「うちの子は、勉強時間はそれなりに取っているのに、なかなか成績が上がらない。」
塾をしていると、そのようなご相談をいただくことがよくあります。
もちろん、勉強時間や勉強量は大切です。しかし、それ以上に大切なのが勉強の仕方です。
私は長年子どもたちを指導してきましたが、成績が伸びる子には共通する習慣があります。
それは、「間違えた後の行動」です。
例えば、音読をしていたとします。
「あ・い・う・え・お・か・き・く・け・こ」
と読んでいる途中で、
「あ・い・う・え・お・か・き・さ…」
と読み間違えたとします。
そこで先生が、
「そこは『さ』じゃなくて『く』だよ。」
と教えました。
すると、勉強が苦手な子は、
「け・こ」
と、『く』はできたものとして、そのまま続きを読んで終わります。
少し意識の高い子は、間違えた「く」だけを言い直してから先へ進みます。
しかし、本当に成績が伸びる子は違います。
もう一度、
「あ・い・う・え・お・か・き・く・け・こ」
と、最初から最後まで読み直します。
一見すると、とても小さな違いです。
「そこまでしなくてもいいのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、この小さな違いこそが、何年も積み重なると大きな学力の差になるのです。
これは計算問題でも同じです。
例えば10問続けて計算をしていて、5問目で間違えたとします。
成績が伸びにくい子は、5問目だけ答えを書き直して、そのまま6問目から最後まで進みます。
あるいは、先生に直してもらっただけで、自分では何も書き直さず「分かった」と言って終わる子もいます。
一方、成績が伸びる子は、間違えた原因を理解したうえで、もう一度最初から10問すべて解き直します。
なぜそこまでするのでしょうか。
それは、「正しいやり方」を頭に定着させるためです。
間違えた部分だけを直すと、その場では分かった気になります。
しかし、人間の脳は、それだけでは正しい手順を十分に覚えてくれません。
最初から最後までやり直すことで、「正しい流れ」が身につき、同じミスを繰り返しにくくなるのです。
ところが、多くの子はこれを面倒くさがります。
「そこだけ直したらいいやん。」
「もう分かったからいい。」
そんな気持ちになってしまうのです。
ですが、この「面倒くさいこと」を当たり前にできる子ほど、成績は着実に伸びていきます。
実は、地域トップ校に合格する子たちも、何か特別な勉強法をしているわけではありません。
「この参考書だけやれば合格できる。」
「この勉強法だけ覚えれば大丈夫。」
そんな魔法のような方法はありません。
日々の勉強の中で、小さなことを丁寧に積み重ねているだけなのです。
だからこそ、合格した生徒に
「一番役に立った勉強法は何?」
と聞いても、多くの子は答えられません。
本人にとっては当たり前になっているからです。
しかし、その当たり前の積み重ねこそが、大きな結果を生み出しています。
私は、このような小さな習慣こそが学力をつくると考えています。
だから授業中も、間違えた生徒には、
「そこだけ直して終わりじゃないよ。」
「もう一回、最初からやってごらん。」
と何度も伝えています。
最初は嫌がる子もいます。
「また最初から?」
「面倒くさい。」
そんな声もよく聞きます。
それでも続けているうちに、それが当たり前になり、勉強の精度がどんどん上がっていきます。
ご家庭でも、お子さんが問題を間違えたときは、ぜひ結果だけではなく、その直し方にも目を向けてみてください。
「そこだけ直して終わり。」
ではなく、
「もう一回、最初からやってみよう。」
この一言がお子さんの勉強習慣を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
勉強ができる子は、特別な才能があるわけではありません。
間違えた後の行動が少し違うだけ。
その小さな違いを毎日積み重ねた子が、やがて大きく成長し、地域トップ校への合格という結果につながっていくのです。

