我が子に合う塾を探している人がハマる罠

「我が子に合う塾」を探していませんか?その考え方が、お子さんの成長を止めてしまうことがあります。
「うちの子に合う塾を探しています。」
塾をしていると、本当によく耳にする言葉です。
もちろん、この言葉の裏には、お子さんを思う深い愛情があります。
「少しでも勉強が分かるようになってほしい。」
「自信を持ってほしい。」
「将来困らないようにしてあげたい。」
そんな親心があるからこそ、塾を探されているのだと思います。
ですから、この考え方そのものを否定したいわけではありません。
ただ、長年たくさんのお子さんを見てきて、「この考え方だけは少し気を付けていただきたい」と感じることがあります。
それは、
「我が子に合う塾を探すこと」だけが目的になってしまうことです。
もし今、お子さんの勉強が思うようにいっていないのであれば、現在のお子さんの状態は、今まで積み重ねてきた勉強の仕方や生活習慣、そして勉強に向き合う姿勢の積み重ねでもあります。
もちろん、お母さんが悪いという話ではありません。
子育てに正解はありませんし、同じように育てても兄弟で全く違う性格になることもあります。
私自身も、「これが絶対に正しい子育てです」と言えるほど子育てのプロではありません。
だからこそ、お母さんにも私たちにも必要なのは、
「もしかすると改善できることがあるかもしれない。」
という謙虚な気持ちなのだと思います。
ところが、ごく一部ですが、
「うちの子には問題はない。」
「先生の教え方が悪い。」
「この塾が合っていない。」
という方向だけで考えてしまうご家庭があります。
実は、その考え方が、お子さんの成長を止めてしまうことが少なくありません。
私たちが最初に指導することがあります。
それは勉強ではありません。
「話を聞く姿勢」です。
「そんなこと?」と思われるかもしれません。
でも、この「話を聞く」ということが、本当にできている子は驚くほど少ないのです。
私たちが言う「話を聞く」とは、先生の方を向いて座っていることではありません。
集中して話を聞き、理解しようとし、頭に残そうとする姿勢です。
この姿勢がなければ、どんなに素晴らしい授業を受けても内容は頭に入りません。
当然、成績も上がりません。
それなのに、
「先生の説明が分かりにくい。」
「この塾はうちの子に合っていない。」
という結論だけになってしまうことがあります。
もちろん、本当に説明が分かりにくい先生もいるでしょう。
しかし、その前に確認していただきたいことがあります。
お子さんは、本当に話を聞いているでしょうか。
足を組み、肘をつき、ぼんやり座りながら話を聞いていても、内容は頭に入りません。
これは子どもだけではありません。
私たち大人でも同じです。
だから私たちは、姿勢を注意します。
集中するよう声を掛けます。
時には厳しく指導することもあります。
すると、お子さんはストレスを感じます。
そして家に帰ると、
「先生が僕だけ怒る。」
「先生が嫌い。」
「塾を辞めたい。」
そう話すことがあります。
もちろん、本当に先生側に問題がある場合もあります。
だから、お子さんの話を疑ってくださいと言いたいわけではありません。
ただ、一つだけ覚えておいていただきたいことがあります。
子どもは、自分に都合の悪いことを全部話すとは限らないということです。
授業中に何度注意されたのか。
どういう態度だったのか。
なぜ注意されたのか。
そこまでは話していないことも少なくありません。
だからこそ、お子さんの言葉だけで判断するのではなく、「なぜそうなったのか」という背景まで見てあげてほしいのです。
同じことは勉強にも言えます。
「もう分かってるのに、また同じ問題をやらされた。」
そんな不満を言う子もいます。
しかし、本当に理解できていれば、何度も同じところでつまずくことはありません。
先生は、その子が苦手な考え方やクセを直そうとして、あえて繰り返し練習させているのです。
ところが、その意図は子どもには分かりません。
だから、
「この塾は合わない。」
という結論になってしまいます。
そして転塾します。
しかし、勉強に向き合う姿勢そのものが変わっていなければ、新しい塾へ行っても同じことが起こります。
逆に、何も注意されず、好きなように勉強できる塾なら、お子さんは「この塾は楽しい」と言うかもしれません。
でも、それで本当に成績は伸びるでしょうか。
私は、勉強が苦手なお子さんほど、
「我が子に合う塾」ではなく、「我が子を成長させてくれる塾」を探していただきたいと思っています。
優しいだけの先生よりも、必要なときにはきちんと注意してくれる先生。
子どもの言い分だけを聞くのではなく、勉強に向き合う姿勢まで育ててくれる塾。
そのような環境こそ、お子さんの未来を大きく変えてくれる可能性があります。
塾は、勉強を教える場所であると同時に、勉強への向き合い方を教える場所でもあります。
だから私は、お母さんにお願いがあります。
塾を選ぶときは、「うちの子に合うかどうか」という視点だけではなく、
「この塾は、子どもの甘さや弱さから目を背けず、人として成長させてくれる場所だろうか。」
という視点でも見ていただけないでしょうか。
その視点が加わるだけで、塾選びは大きく変わります。
そして、その選択がお子さんの将来を変えるきっかけになるかもしれません。
子どもは、楽な環境で成長することもあります。
しかし、本当に大きく成長するのは、自分の弱さと向き合い、それを乗り越えたときです。
その最初の一歩を支えることが、私たち塾の役割であり、お母さんと一緒に取り組んでいきたいことだと考えています。

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