茨高に行くために小学生のうちにしておく事③
茨高に行くために小学生のうちにしておくこと③
― 基礎計算力を鍛える ―
「茨高に行くために、小学生のうちにしておくこと」シリーズ、第3回です。
今回お話ししたいのは、基礎計算力です。
私は、小学生のうちにぜひ、この基礎計算力を徹底的に鍛えておいてほしいと思っています。
では、「基礎計算力」とは何でしょうか。
例えば、九九や簡単な足し算、引き算、掛け算、割り算など、考え方が分からなくて間違えるような問題ではなく、普通にやればできる単純な計算を、どれくらい正確にできるかという力です。
仮に単純な計算問題を10問やって9問正解する子がいたとします。
この子の基礎計算力を90%と考えます。
10問中8問なら80%です。
小学校のテストなら、10問中9問正解すれば、
「惜しかったね」
「ちょっとミスしただけやな」
「次は気をつけよう」
という感じで終わることも多いと思います。
でも、茨高のような高いレベルを目指すのであれば、私はこの「10問中9問できたから大丈夫」という考え方は少し危険だと思っています。
なぜなら、入試問題は一つの計算だけでできているわけではないからです。
一つの答えを出すまでに、たくさんの基礎計算が組み合わされています。
例えば、
2/3+3/4
という非常に単純な分数の計算を考えてみましょう。
分母をそろえるために3×4=12。
2×4=8。
3×3=9。
そして最後に8+9=17。
答えは17/12です。
ここで注目してほしいのは、こんな単純な小学生の分数計算の中にさえ、4回の基礎計算が入っているということです。
では、基礎計算力が90%の子が、この4回の基礎計算をすべて正確にできる確率を単純化して考えてみましょう。
0.9×0.9×0.9×0.9=0.6561。
つまり、**約66%**です。
基礎計算力90%。
一見すると十分高そうに見えます。
しかし、たった4回の基礎計算をすべて正確に積み重ねようとしただけで、約66%になってしまいます。
では、基礎計算力80%の子ならどうでしょう。
0.8×0.8×0.8×0.8=0.4096。
約41%です。
もちろん、これは「実際のテストで必ずこの点数になる」という意味ではありません。
ここで言いたいのは、一つ一つの基礎計算の正確さが少し低いだけでも、計算が積み重なれば、その影響がどんどん大きくなるということです。
しかも、今の例は入試問題ではありません。
小学生が解くような、ごく単純な分数の計算です。
では、高校入試レベルになるとどうでしょうか。
入試に出てくる計算問題は、基礎計算が4回どころではありません。
一つの問題の中で、足し算、引き算、掛け算、割り算、符号の処理、分数の処理など、10回以上の基礎計算を正確に積み重ねなければならないこともあります。
仮に基礎計算力90%の子が、10回の基礎計算をすべて正しく行う確率を単純化して考えると、
0.9の10乗=約0.35。
約35%です。
つまり、入試レベルの問題にきちんと対応しようと思えば、
「10問中9問できるから大丈夫」
という基礎計算力では足りないということです。
まして基礎計算力80%なら、なおさらです。
だからこそ、小学生のうちに目指してほしいのは、
基礎計算力を限りなく100%に近づけること。
簡単な計算なら、速く、正確に、ほぼ間違えない。
そこまで持っていくことです。
では、その基礎計算力をどうやって上げるのか。
私は、やはり大量の計算練習が必要だと思っています。
そろばんでもいいと思います。
公文のように大量に計算する方法でもいいと思います。
方法はいろいろありますが、大切なのは、小学生のうちに圧倒的な量の計算を経験することです。
例えば、
15×4=60
25×4=100
15×6=90
こういう計算を一つ一つ暗記する必要はありません。
何度も何度も計算しているうちに、
「覚えようと思って覚えたわけではないけれど、もう答えが出てくる」
という状態になります。
これが大切なのです。
大量の計算を経験すると、計算のスピードが上がります。
同時に、正確性も上がっていきます。
つまり、基礎計算力そのものが上がっていくのです。
そして基礎計算力が高くなれば、中学生以降の数学でも大きな余裕が生まれます。
計算そのものに頭を使わなくて済むからです。
問題文を読む。
条件を整理する。
どの公式を使うのか考える。
図をイメージする。
解き方を組み立てる。
そういう本当に頭を使わなければならない部分に、頭を使えるようになります。
反対に、基礎計算力が弱い子は、考え方が合っていても途中で計算を間違えます。
解き方は分かっているのに答えが合わない。
もう一度やっても、また別のところで間違える。
それが何度も続くと、
「数学が苦手」
「自分は数学ができない」
と思うようになってしまいます。
でも実際には、数学の考え方以前に、基礎計算力が不足しているだけということも少なくありません。
そして私は、基礎計算力を鍛えることには、もう一つ大きな意味があると思っています。
それは、正確にやり切る習慣を身につけることです。
計算をよく間違える子を見ていると、計算だけを間違えるとは限りません。
英単語でもスペルを間違える。
問題文を最後まで読まない。
答えを書くときに一文字抜ける。
確認せずに「できた」と思ってしまう。
つまり、
「だいたい合っていたらいい」
「ちょっとくらい間違っても仕方ない」
という感覚が、いろいろなところに出てくることがあります。
だから計算練習というのは、単に算数の練習をしているだけではないのです。
簡単なことを正確にやる。
最後まで集中する。
間違えたら原因を確認する。
100%できるところまで繰り返す。
そういう学習に必要な集中力や正確性、最後までやり切る姿勢も一緒に鍛えているのです。
そして、こういう基礎的な力は、中学生になってから慌てて身につけようとしても時間がかかります。
中学校では、周りの子たちもどんどん先へ進んでいきます。
みんなが当たり前にできる計算を自分だけ練習し直しながら、その一方で学校では新しい内容をどんどん習う。
そこから追いつき、さらに追い越していくのは大変です。
だからこそ、時間のある小学生のうちにやっておく。
毎日15分でもいい。
毎日決めた枚数でもいい。
計算することを特別なことにせず、
「毎日計算するのが普通」
という環境をつくってあげる。
小さい子どもは、まだ「普通」の基準をそれほど持っていません。
小さい頃から毎日計算する生活をしていれば、それがその子にとっての当たり前になります。
親からすると、
「こんなに計算させたらかわいそうかな」
と思うこともあるかもしれません。
でも、小学生のうちに基礎計算力をしっかり身につけて、中学生になったときに余裕を持って勉強できる。
周りが苦労している計算を、速く正確に処理できる。
その分、難しい問題を「考えること」に頭を使える。
それは、その子にとって将来大きな財産になると思います。
茨高を目指すからといって、小学生のうちから難しい問題ばかりをやらせる必要はありません。
むしろ大切なのは、小学生のうちに身につけるべき基礎を、圧倒的に高いレベルまで仕上げておくことです。
その一つが、基礎計算力です。
10問中9問で満足しない。
10問中8問ならなおさらです。
簡単な計算なら、100%できるところまで練習する。
そして、そのためには大量の計算練習をする。
大量の計算練習によって基礎計算力を上げる。
基礎計算力が上がるから、複雑な計算にも対応できる。
その土台があるから、入試レベルの問題でも「考えること」に集中できる。
難しい問題が解ける子を目指す前に、簡単な計算を絶対に間違えない子を目指す。
茨高を目指すのであれば、ぜひ小学生のうちから、この**「基礎計算力」**をしっかり鍛えておいてほしいと思います。

