茨高に行くために小学生のうちにしておく事⑤

茨高に行くために、小学生のうちにしておくこと
第5弾「考える力をつける」

「子どもに考える力をつけてほしい」

このことには、多くの保護者の方が同意されると思います。では、その考える力は、どこで育つのでしょうか。

難しい問題集に取り組んでいるときでしょうか。塾で授業を受けているときでしょうか。

もちろん、勉強の中でも育ちます。しかし、私が日々子どもたちを見ていて感じるのは、その土台になるのは「日常生活で考える習慣」だということです。

普段の生活ではあまり考えないのに、勉強時間になると急にしっかり考え始める。そういう切り替えは、なかなか難しいように感じます。

日常的に考えている子は、考えることをそれほど苦にしません。分からないことに出会っても、「どういうことだろう」「こう考えたらどうだろう」と、自分なりに頭を働かせます。

私は、これを「考える体力」と呼んでいます。

反対に、普段あまり考える習慣がない子にとっては、じっくり考えること自体が大変です。少し問題に取り組んだだけで疲れてしまい、すぐに「分からない」「教えて」となってしまうことがあります。

もちろん、疲れている日もあれば、問題が難しすぎる場合もあります。ただ、いつもすぐに答えを求めてしまうなら、自分で考える経験を少しずつ積ませてあげたいところです。

体力をつけるために日々体を動かすように、考えることにも、日々の練習が必要なのだと思います。

その入り口になるのが、「なぜ?」という疑問です。

「どうして、冷たいコップの外側に水がつくの?」
「どうして、同じ時間に出たのに、今日は学校まで時間がかかったの?」
「どうして、このお店にはたくさん人が来るの?」

日常生活には、考えるきっかけがたくさんあります。

小さい子どもが「なんで?」「どうして?」と何度も聞いてくると、忙しい保護者の方は、毎回相手をするのが大変だと思います。「そういうものだから」と答えてしまう日もあるでしょう。

いつも丁寧に説明できなくても、それだけで考える力が育たなくなるわけではありません。大切なのは、疑問を持ったことを受け止めることです。

特に小学生になったら、「そんなこと、どうでもいいでしょ」で終わらせず、その好奇心を育ててあげてほしいと思います。

「よく気がついたね」
「確かに、どうしてだろうね」
「あなたは、どう思う?」

このような一言でも、子どもが考え始めるきっかけになります。「そんなところに気づけたんだね」と、答えを知っていることだけでなく、疑問を持てたことも認めてあげてください。

保護者の方が、すべての答えを知っている必要はありません。分からなければ、図鑑や本を見たり、スマートフォンで一緒に調べたりすればよいのです。

ただ、調べて答えを見つける前に、「自分はどう思うか」を少し考えてみる。そして調べた後に、「なるほど、だからこうなるんだね」と確かめる。このひと手間が、考える練習になります。

予想が外れていても構いません。「そう考えた理由は何だったのか」「実際には何が違ったのか」を確かめることにも意味があります。

また、考える対象は、理科のような疑問だけではありません。

「明日の朝、慌てないためには何を準備しておこうか」
「この順番でやったら、うまくいくだろうか」
「忘れ物をしたのは、どこで確認が抜けたからだろうか」

こうした生活の中の小さな判断も、理由や方法を考える機会になります。大人が先回りしてすべて決める前に、子ども自身に考えてもらう。その積み重ねも大切です。

この習慣の違いは、勉強の仕方にも表れます。

例えば、社会の○×問題が10問あったとします。

考えずに取り組む子は、極端に言えば、すべてに○を書きます。それでも、いくつかは正解になるでしょう。答え合わせをして、間違っていたところだけ×に書き直せば、答案の上では全問正解になります。

そして、「直しが終わった」「全部正解になった」と言います。

けれども、その子は何を学んだのでしょうか。

なぜ○なのか。どこが間違っているから×なのか。それが分からないままでは、正しい記号に書き直しても、知識や理解はほとんど増えていません。

選択問題でも同じです。

とりあえず「ア」を選び、間違っていたら「イ」に変える。それも違えば「ウ」にする。正解になったら、「できた」と終わる。

これでは、答えを探し当てただけです。正解したことと、理解したことは同じではありません。

一方、考えて取り組む子は、答えの根拠を確かめます。

「この文は、この部分が違うから×」
「アはこの説明が違う。イもここが違う。だからウだと思う」

さらに、答え合わせでも考えます。

「×という答えは合っていたけれど、自分が間違いだと思った箇所は違っていた」
「この言葉の意味を勘違いしていた」
「そうか、この条件を見落としていたんだ」

こうした確認を通して、知識が増え、理解が深まっていきます。

○×問題なら、×の文を正しい内容に直してみる。選択問題なら、ほかの選択肢がなぜ違うのかを説明してみる。そうすると、正解の記号だけを覚える勉強から、一歩進むことができます。

同じ10問に取り組んでいても、その中で何を考えたかによって、得られるものは大きく変わるのです。

「うちの子は勉強しているのに、なかなか成績が上がらない」

そんなときは、時間やページ数だけでなく、勉強の中身を見てあげてください。

問題文を読んでいるか。答えの理由を考えているか。間違えた原因を確かめているか。ただ答えを写して、終わりにしていないか。

机に向かっている時間が長くても、頭を使う場面が少なければ、成果にはつながりにくくなります。

だからこそ、小学生のうちから「今日は何ページやったの?」だけで勉強を評価しないことが大切です。

もちろん、練習量も必要です。ただ、ページを進めることばかりが目標になると、子どもは早く終わらせることを優先してしまいます。

「どうして、その答えにしたの?」
「どこで迷ったの?」
「間違えた理由は分かった?」

そんな問いかけで、考えた過程に目を向けてあげてください。毎問聞く必要はありません。一問でも、自分の考えを説明する機会があれば、勉強の仕方を見直すきっかけになります。

すぐに説明できなくても、少し待ってあげてください。大人が答えを言う前に、自分の言葉を探す時間も、考える練習になります。

日常生活で「なぜ?」を持つ。自分なりに理由を考える。調べたり確かめたりして、考えを修正する。

この積み重ねが、勉強で粘り強く考える土台になります。

茨高を目指すうえでも、覚えた答えを再現するだけでなく、持っている知識を使い、条件を整理して考える力を育てたいところです。

その準備は、小学生の日常生活から始められます。

たくさんのページを終えたことだけでなく、一つのことをじっくり考えたことを認めてあげる。子どもが口にした小さな「なんで?」を、大切にする。

日々のこうした関わりを通して、考えることを苦にせず、自分の頭で学ぶ子に育てていただきたいと思います。

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