茨高に行くために小学生のうちにしておく事④

小学生のうちにやっておくこと④

「イメージする力」をつける

小学生のうちに身につけておいてほしい力の一つに、**「イメージする力」**があります。

この力は、中学生、高校生になって難しい問題を解くようになったときに、非常に大きな差になります。

例えば、中学理科でこんな問題があります。

試験管が5本並んでいて、それぞれに同じ量の硫酸が入っている。そこへ水酸化ナトリウム水溶液を、Aには1㎤、Bには2㎤、Cには3㎤……と少しずつ量を変えて加えていく。

そしてBTB溶液を加えると、

「黄色、黄色、緑、青……」

と色が変化していく。

こういう問題です。

単元の最初の方では、問題集にも試験管が5本きれいに描かれています。

ここで大事なのは、ただ答えを出して次の問題へ進むことではありません。

「試験管が5本並んでいるんやな」

「最初は酸性だから黄色なんやな」

「水酸化ナトリウムを増やしていくと、ここで中性になって緑になるんやな」

「さらに増やしたらアルカリ性になって青になるんやな」

そんなふうに、頭の中で実験の様子を動かしながら問題を解くことが大切なのです。

ところが、効率を重視しすぎると、

「早く解きなさい」

「もっとたくさん問題をやりなさい」

「答えが合っていたら次!」

となりがちです。

確かに、その日の勉強だけを見れば、その方がたくさんの問題を解けます。

しかし、それを続けていると、問題を解くために必要な「イメージする力」が育たないことがあります。

これは非常にもったいないことです。

実際、高校入試の理科では、文章だけを読むと難しそうに見える問題でも、状況を頭の中に描くことができれば意外と簡単に解ける問題がたくさんあります。

「試験管がこう並んでいて……」

「ここまでは酸性で……」

「ここで中性になって……」

「ここからアルカリ性になっているから……」

と頭の中に絵が浮かべば、問題文を何度も読み返さなくても理解できます。

反対に、イメージする習慣がない子は、問題文に書かれている情報を一つひとつ文字のまま処理しようとします。

すると、とても頭の体力を使います。

一つ理解するだけで、ぜえぜえ、はあはあするぐらい疲れてしまう。

難しい問題になればなるほど、途中で何を考えていたのか分からなくなってしまいます。

だから私は、最初の簡単な問題ほど、むしろじっくり取り組んでもいいと思っています。

試験管の絵を見ながら、

「こういうことか」

「こう変化していくのか」

とイメージする。

最初は時間がかかっても構いません。

それを繰り返していると、やがて問題文を読んだだけで、頭の中に試験管や実験の様子が浮かぶようになります。

一見すると遠回りです。

しかし、受験までの数年間という長い時間で考えると、こちらの方が圧倒的に効率がいいのです。

1日だけの効率を求めすぎると、長い目で見れば、かえって効率の悪い勉強になってしまうことがあります。

そして、イメージする力が必要なのは理科だけではありません。

数学なら、特に図形です。

平面図形はもちろん、空間図形になれば、頭の中で立体を動かしたり、切断したりする力が必要になります。

立体をある面で切ったら、どんな断面になるのか。

どの点とどの点がつながっているのか。

これを頭の中でイメージできる子とできない子では、大きな差が生まれます。

英語でも同じです。

例えば、

“Are you a student?”

と聞かれたとします。

単なる文字として英文を見るのではなく、

「AさんがBさんに『あなたは生徒ですか?』と聞いている」

という場面をイメージする。

するとBさんが答えるときには、

“Yes, I am.”

となることが自然に分かります。

「今、誰が誰に話しているのか」

「誰のことを聞いているのか」

という状況が頭の中にあれば、英語を単なる暗記ではなく、意味のある言葉として理解できるようになります。

国語も同じです。

物語を読んだら、その場面を頭の中に描いてみる。

登場人物はどこにいるのか。

どんな表情をしているのか。

どんな気持ちなのか。

説明文であれば、書かれている内容を図や具体的な場面に置き換えて考えてみる。

つまり、イメージする力は特定の教科だけで使う力ではありません。

国語、算数・数学、理科、英語。

さまざまな教科の土台になる力です。

最近はICT教材や動画教材も非常に分かりやすくなっています。

空間図形なら立体が画面上でクルクル回り、切断すると断面まで見せてくれる。

理科の天体でも、太陽や地球、惑星などが動いて、位置関係を分かりやすく説明してくれます。

もちろん、そういう教材にも良いところはあります。

ただ、注意しなければならないことがあります。

「見せてもらえば分かる」と「自分でイメージできる」は別の能力です。

実際の入試問題では、毎回動画が用意されているわけではありません。

文章と図を読んで、自分の頭の中で状況を作らなければなりません。

だから小学生のうちから、

文章を読んだら場面を想像する。

図を見たら、その動きを考える。

理科なら実験の様子を頭の中で再現する。

算数なら図形を頭の中で動かしてみる。

英語なら誰と誰が話しているのかを思い浮かべる。

そんな習慣をつけてほしいと思います。

目の前の問題を1問でも多く解くことだけが、効率のいい勉強ではありません。

1問の問題から、どれだけ頭を使えるか。

どれだけ自分の中にイメージを作れるか。

そこを小学生のうちから大切にしてほしいのです。

「見れば分かる子」ではなく、「読めば頭の中に浮かぶ子」にする。

この力は、中学生、高校生になって問題が難しくなればなるほど、大きな武器になります。

そして、小学生のうちにじっくり時間をかけて身につけた「イメージする力」が、結果としてその後の勉強をずっと速く、ずっと楽にしてくれるのです。

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