茨高に行くために小学生のうちにしておく事⑥

茨木高校を目指すために、小学生のうちにしておきたいこと⑥
「場合分けを面倒くさがらない力」を育てる

「うちの子、長い時間机に向かっているのに、なかなか成績が上がらないんです」

こうしたご相談をいただくことがあります。

もちろん、勉強時間を確保することは大切です。しかし、それと同じくらい大切なのが、その時間に「頭の中で何をしているか」です。

問題を見て、思いついた答えを言う。間違っていたら、別の答えを言う。それも違うと言われたら、また別の答えを言う。

これでは、勉強が「当てもの」になってしまいます。

今回お伝えしたいのは、いくつかの可能性を順番に検討する力。そして、その作業を面倒くさがらずに取り組む習慣です。

■三つ知っていても、三つを比べられるとは限りません

少し先の学習になりますが、中学校の英語で習う「不定詞」を例に考えてみましょう。

不定詞には、大きく分けて三つの用法があります。

一つ目は、名詞的用法。「野球をすることが好きです」の「すること」にあたる使い方です。

二つ目は、副詞的用法。例えば「プレゼントを買うために梅田へ行った」の「買うために」のように、目的を表す使い方があります。

三つ目は、形容詞的用法。「するべきこと」「読むための本」など、名詞を説明する使い方です。

実際には、訳し方だけでなく文の構造や前後の意味も確かめる必要がありますが、学び始めの段階では、こうした意味の違いを比べることが理解の助けになります。

ここで必要なのは、三つの名前を覚えることだけではありません。

「この文では『すること』と考えたら、意味が通るかな」
「『するために』ではどうだろう」
「前の名詞を説明しているのかな」

このように、候補を比べて判断することです。

ところが、学習につまずいている子の中には、この比較をせず、最初に浮かんだ答えだけを言ってしまう子がいます。

三つの用法を知っていることと、その三つを使って考えられることは、別なのです。

■間違えたことより、どう考えたかが大切です

例えば、ある子が一つの訳し方を選び、結果として間違えたとします。

それでも、その子が「こう訳したら意味が通ると思った」と説明できるなら、そこから学習を進められます。

「ここをそう訳すと、後ろの言葉とうまくつながらないね」
「この部分は、前の名詞を説明しているんだね」

そう確認することで、自分の判断のどこを直せばよいかが分かるからです。

一方、理由もなく答えを言い、間違っていたら次の候補に替えるだけでは、判断の仕方が育ちにくくなります。

「一番ではなかったから二番」
「二番でもなかったから三番」

これで正解にたどり着いても、次の問題を自分で解けるようになったとは限りません。

大切なのは、答えを替えることではなく、理由を確かめながら考えを進めることです。

■「考えているつもり」で止まっていませんか

これは英語だけの話ではありません。

算数や数学でも、一つの方法を試してうまくいかなかったときに、別の方法を検討する場面があります。

「式だけでは分かりにくいから、図にしてみよう」
「全部を一度に考えるのは難しいから、二つの場合に分けよう」
「この条件に合わないものを、先に除いてみよう」

こうして考え方を動かせる子は、解決への手がかりを探せます。

一方、一つの方法で行き詰まったまま、ずっと問題を眺めている子もいます。

本人に聞けば、「考えています」と答えるでしょう。実際に、一生懸命取り組んでいる場合もあります。

ただ、問題を見続けているだけでは、考えが先に進まないことがあります。

そんなときには、「もっと考えなさい」と言うだけでなく、「今、どこまで分かった?」「ほかに試せることはある?」と、次の一歩を具体的にする必要があります。

勉強時間を見るだけでは分からない差が、こうしたところに表れます。

■小学生のうちに育てたいのは、検討する習慣です

だからこそ、小学生のうちから育てていただきたいのが、「ほかの場合も確かめてみよう」とする習慣です。

難しい問題を次々に解かせる、ということではありません。

例えば、数の組み合わせを考える問題なら、一つ見つけたところで終わらず、「ほかにもあるかな」と探してみる。

文章題なら、「この答えは、問題の条件に全部合っているかな」と確かめてみる。

パズルなら、「ここに置けないとしたら、次はどこだろう」と別の可能性を試してみる。

こうした小さな経験が、場合を分けて考える練習になります。

その際、頭の中だけで処理させる必要はありません。候補を書き出す、図を描く、試したものに印をつける。それだけでも、何を確かめたのかが見えやすくなります。

「考えること」を、子どもが実際にできる行動にしてあげてほしいのです。

■「分からない」の直後の関わり方

お子さんが「分からない」と言ったとき、大人はつい、すぐに解き方を教えたくなります。

もちろん、知識が足りないときや、問題の意味が理解できていないときには、説明が必要です。ただ、取り組む手がかりを持っているのに、考える前に答えを求めていることもあります。

そこで、一度こう聞いてみてください。

「何を試してみた?」
「それでは難しいと思った理由は?」
「もう一つ、別のやり方はあるかな?」

大切なのは、問い詰めることではありません。お子さんと一緒に、考えた道筋を確かめることです。

これは、塾での指導でも同じです。質問にすぐ答えてもらえることは安心につながりますが、指導する側には、どこを説明し、どこを本人に考えてもらうかを見極めることが求められます。

自分で候補を比べる機会まで、大人が引き受けてしまわないようにしたいものです。

■正解だけでなく、確かめた過程を認めてください

お母さんにぜひ見ていただきたいのは、正解したかどうかだけではありません。

「ほかの方法も試していたね」
「その答えでは合わない理由に気づいたね」
「全部の場合を、順番に確かめられたね」

こうした過程にも目を向けていただきたいのです。

中学校に入ると、覚えたことをそのまま答えるだけでは対応できない問題が増えていきます。そのときに支えになるのが、いくつかの可能性を比べ、自分で判断する習慣です。

この力は、中学生になってからでも練習できます。ただ、小学生のうちから少しずつ経験しておけば、その後の学習の土台になります。

すぐに答えが出なくても、候補を出す。一つが違ったら、理由を確かめて次を試す。

そのひと手間を面倒くさがらずに取り組めるように、日々の勉強や会話の中で、お子さんの「場合分けを考える力」を育てていただきたいと思います。

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