茨高に行くために小学生のうちにしておく事⑨
茨高に行くために小学生のうちにしておくこと⑨
「我慢する力・自分を律する力をつける」
「今日は疲れたから、勉強は明日にしよう」
「楽しそうな予定が入ったから、今日は塾を休もう」
こんなとき、お子さんはどのように行動するでしょうか。そして、お母さんはどのような声をかけておられるでしょうか。
私たちは職業柄、勉強のできる子も、勉強が苦手な子も、たくさん見てきました。その中で、学力の伸びを大きく左右すると感じているのが、「我慢する力」、言い換えれば「自分を律する力」です。
やりたくない気分になったときにも、自分で決めたことに取り組めるかどうか。この日々の小さな違いが、やがて大きな学力差になって表れます。
勉強は、いつも気分よく取り組めるわけではありません。
学校やクラブ活動で疲れている日もあれば、ほかにやりたいことがある日もあります。机に向かっていても、途中で集中が切れてしまうこともあるでしょう。
そんなときに、
「今日はもう、やめておこう」
となるのか、それとも、
「毎日ここまではやると決めたから、まずは取り組もう」
と思えるのか。
私は、この差が非常に大きいと感じています。
もちろん、体調が悪いときには休養が必要です。病気のときまで無理に勉強させるという話ではありません。大切なのは、「少し面倒だな」「今日は気分が乗らないな」という気持ちに、その都度流されてしまわないことです。
例えば、クラブの試合があった日の通塾です。
疲れている中でも、「今日は塾の日だから」とやって来る子がいます。一方で、「今日は疲れたから休む」という選択が重なる子もいます。
状況によって判断は必要ですが、少し疲れているという理由だけで、毎回予定を変えてしまっていては、自分を律する力は育ちにくくなります。
ここでお母さんが、
「疲れたやろうし、今日は休んだら?」
と、子どもが休む理由を先回りして用意してしまうこともあります。
子どもを思っての言葉だと思います。ただ、その声かけが続くことで、「疲れたら、決めたことをやめてもいい」という習慣につながっていないかは、考えていただきたいところです。
以前は、こんな欠席理由もありました。
「親戚のおじさんが来たので、みんなで焼肉を食べに行きます」
遠方から久しぶりに来られた方との大切な集まりなら、事情もわかります。しかし、近くに住んでいて、また別の日にも会えるのであれば、どうでしょうか。
「僕も行きたいけど、今日は塾があるから、また今度連れて行って」
そう言える子には、自分の予定や目標を大切にする姿勢を感じます。
焼肉を食べに行くことが悪いのではありません。楽しい予定が入るたびに、先に決まっていた勉強の予定が簡単に後回しになってしまう。その積み重ねが問題なのです。
例外になる用事は、いくらでも出てきます。
今日は疲れている。明日は出かける。明後日はお客さんが来る。
そのたびに「今日は特別」としていたら、いつの間にか、勉強するかどうかをその日の都合や気分で決めるようになってしまいます。
これは、家庭学習でも同じです。
例えば、本人が「今日は50分勉強する」と決めたとします。ところが、30分ほどで集中が切れ、ぼんやりしてしまった。
そのときに、
「あかん、集中が切れていた。もう一度やろう」
と戻れる子と、
「今日は気分が乗らないから、もうやめよう」
となる子では、毎日の学習の積み重なり方が違います。
集中が途切れること自体は、誰にでもあります。そこで自分の状態に気づき、決めたことに戻れるかどうかが大切なのです。
この違いは、受験が近づくと、さらに大きく表れます。
め塾では、中学3年生になると、土曜日にまとまった時間勉強する「土曜特訓」を行っています。
普段から、多少気が進まなくても決めたことに取り組んできた子は、受験前の勉強にも粘り強く向き合えます。そういう子が、最後にぐっと伸びていく姿を何度も見てきました。
一方で、何かと用事が重なって欠席が続く子は、私の経験上、伸び悩むことが多いと感じます。
本人は、サボっているつもりではないのでしょう。実際に用事があるのだと思います。
ただ、その用事は、どうしてもその時間でなければならないものなのか。目標に向けて確保した勉強時間を、どこまで大切にしているのか。そこには、その子自身とご家庭の優先順位が表れます。
受験生になった途端に、自分を厳しく律することができるようになるわけではありません。だからこそ、小学生のうちから練習しておいてほしいのです。
まずは、毎日取り組むことを、お子さんと相談して決めてください。
「毎日、計算を1ページする」
「夕食の前に、漢字の練習をする」
「寝る前に、今日間違えた問題をやり直す」
最初から、大きな目標を立てる必要はありません。少し頑張れば続けられる内容で十分です。
大切なのは、お母さんが一方的に決めて押し付けるのではなく、本人も納得して決めることです。
「毎日、どれくらいなら頑張れそう?」
「いつやることにする?」
そうやって相談し、自分で決めた約束として取り組ませてください。
そして、決めた後は、その日の気分だけで簡単にやめないように支えてあげてください。
「やりたくない気持ちはわかるよ。でも、自分でやると決めたよね」
そんな声かけをしながら、約束を守れた経験を積ませていくのです。無理な計画だった場合は見直せばよいのですが、毎日の気分に合わせて、その場で約束をなくしてしまわないことが大切です。
我慢する力は、一度言い聞かせれば身につくものではありません。
遊びたいけれど、先に決めたことを済ませる。少し面倒でも、今日の分に取り組む。集中が切れたら、もう一度目の前の課題に戻る。
そうした小さな経験の積み重ねが、自分を律する力になっていきます。
その力は、受験勉強だけでなく、その先で目標を実現するときにも、お子さんを支えてくれるはずです。
「やりたいかどうか」だけで行動するのではなく、「自分で決めたから、やる」。
そんな姿勢を、できるだけ小さいうちから、ご家庭で育てていただきたいと思います。

