デキる子に育てるための第1歩
「できる子のお母さんって、どういう子育てをしているんだろう?」
塾をしていると、そう感じる場面がたくさんあります。
もちろん、「できる子」と言っても、ただテストの点数が高いという意味だけではありません。
自分で考える力がある子ども。
我慢する力がある子ども。
感情に流されず、自分をコントロールできる子ども。
そういう子どもは、勉強だけでなく、将来的にも強いなと感じます。
そして、そのようなお子さんのお母さんを見ていると、ある共通点があるように思います。
それは、
「子どもに考えさせる」
そして、
「自分で決めたことに責任を持たせる」
ということです。
以前、あるお母さんからこんなお話を聞きました。
その方は経済的にもかなり余裕のあるご家庭なのですが、子どもをむやみに甘やかすのではなく、「お金」や「選択」の大切さをきちんと教えたいと考えておられました。
ある日、そのお母さんは、まだ3歳くらいの娘さんを連れて、お知り合いのおもちゃ工場へ見学に行かれたそうです。
すると工場の社長さんが、
「好きなおもちゃを一つプレゼントするよ」
と言ってくださったそうなんですね。
娘さんは大喜びです。
当然ですよね。
ですが、お母さんはそこで、
「ちゃんと最後まで見てから、自分でよく考えて選びなさいね」
と伝えました。
ところが、工場を少し見ただけで、娘さんはいきなり、
「これが欲しい!」
と、お人形を選んだそうです。
お母さんは、
「まだ全部見てないけど、本当にそれでいいの?」
「後からもっと欲しいものが出てきても交換できないよ?」
と何度も確認したそうですが、娘さんは、
「これがいい!」
と言って譲らなかったそうです。
そこで、そのお人形をいただくことになりました。
しかし、当然ながら、その後さらに工場を見学していくと、もっと魅力的なおもちゃが次々と出てきます。
娘さんは、
「あっちがよかった!」
「やっぱりこっちが欲しい!」
と泣き出したそうです。
すると工場の社長さんは、
「交換してあげようか?」
と優しく声をかけてくださったそうなんですね。
ですが、そのお母さんは、
「いえ、この子が自分で決めたことなので」
と言って、交換をさせなかったそうです。
私はこの話を聞いた時、本当にすごいお母さんだなと思いました。
正直、自分がその場にいたら、泣いている子どもを見て心が揺れると思います。
「まあ今回は特別ね」
「小さいし、仕方ないか」
と思ってしまうかもしれません。
でも、そのお母さんは違いました。
もちろん、その時娘さんは悔しかったと思います。
もしかしたら、お母さんのことを恨んだかもしれません。
ですが、その経験によって、その子はきっと、
「次はちゃんと最後まで見てから決めよう」
「本当に欲しいものを考えよう」
と思うようになったはずなんです。
つまり、「考える力」が育ったんですね。
実は、勉強ができる子どもというのは、こういう力を持っています。
- すぐ飛びつかない
- 一回立ち止まって考える
- 比較する
- 我慢できる
- 感情だけで動かない
逆に、成績が伸びにくい子どもほど、
- なんとなく答える
- 深く考えない
- 嫌になると投げ出す
- すぐ「今のなし」と言う
- 楽な方へ流れる
という傾向があります。
昔、ゲームで負けそうになると、すぐリセットボタンを押す子どもがいました。
気に入らない結果になると、
「今のなし!」
みたいな感覚になるんですね。
ですが、それを繰り返していると、
「嫌な結果を受け入れない」
「自分の選択に責任を持たない」
という考え方が身についてしまいます。
これは勉強だけでなく、将来の社会生活にも大きく影響します。
今の時代は、子どもにとって誘惑が非常に多い時代です。
YouTube、ゲーム、SNS、ショート動画…。
昔とは比べものにならないほど刺激が強いものがあふれています。
だからこそ今の子どもには、
- 自分を律する力
- 我慢する力
- 長期的に考える力
- 衝動をコントロールする力
が、以前よりもさらに必要になっていると思います。
そして、その力は特別な教育で育つというより、実は日常生活の中で育っていくんですね。
例えば、
「どちらか一つ選びなさい」
という経験もそうです。
晩ご飯のおかずでも、
「エビフライとメンチカツ、どっちか一つね」
と言われ、自分で選ぶ。
すると後から、
「やっぱりそっちがよかった!」
となることがあります。
でも、その経験があるからこそ、次はもっと考えるようになるんです。
もちろん、親としては大変です。
子どもがぐずったり、泣いたりすると、つい譲ってしまいたくなります。
ですが、そこで毎回子どもの感情に流されてしまうと、子どもは、
「泣けば何とかなる」
「嫌なら変えてもらえる」
と学んでしまいます。
一方で、
「あなたが自分で決めたことだからね」
と親が支えることで、子どもは少しずつ、
- 自分で考える
- 後悔から学ぶ
- 次はもっと良い選択をする
ようになっていきます。
私は、これこそが「本当の頭の良さ」の土台だと思っています。
単に知識を覚えるだけではありません。
自分をコントロールしながら、考え続ける力。
それを育てることが、子どもの将来にとって、とても大切なのではないでしょうか。

